安倍政権がやろうとしている経済政策、真の狙いがわかった!
安倍政権が始まり2年が経ち、アベノミクスでやろうとしている事の真の狙いがわかってきました。
アベノミクス真の狙いは財政再建!
景気浮揚と財政再建を同時に狙っているが、二兎を追うもの二兎を得ず。株価だけは吊り上るが、景気はそれほど良くならない可能性が高い。
アベノミクスによるデフレ脱却により、国民(特に中低所得者)の暮らしは貧しくなる!!
安倍総裁、甘利大臣、菅官房長官が次のような話をしています。
甘利経済再生担当大臣は、「アベノミクスにとって、ことし1年は正念場だ。『三本目の矢』である成長戦略が完成して初めてアベノミクスは評価される。どこの国もやったことがない長期デフレからの脱却と財政再建のシナリオを、われわれは作ろうとしている」と述べました。
<中略>
菅官房長官は、「デフレ脱却と日本経済の再生を最優先で、本年も全力で取り組んでいきたい。デフレ脱却と財政再建という極めて難しい2つの課題、二とを追って、二とを得ることが国民に対しての私どもの大きな責任だ」
安倍晋三総裁は25日、経団連の審議員会であいさつし、デフレから脱却せずに財政再建はできないとし、日銀と政策協定(アコード)を結び、2%のインフレ目標を設定したいとあらためて表明した。
3者の主張から読み取れる事は、デフレ脱却がなければ財政再建ができない
「財政再建をするためにデフレ脱却を目指す」
これは、どういうことか?
現在、1000兆円ある国の借金ですが、借金の利子を返すために、新たに借金をするという自転車操業を日本は繰り返しています。
これは、安倍政権1年目(2013年度)の国の収支を見ればわかります。
収入:税収43.1兆円、借金42.9兆円
支出:総額92.6兆円(内、借金返済に22.2兆円)
アベノミクス1年目、国は借金を新たに42.9兆円し、借金返済で22.2兆円払いました。
つまり、
アベノミクス1年目で国は借金を20.7兆円も増やしました。
このような状況の中、財政再建はとても難しいです。
そこで安倍政権が考えているのが、「デフレ脱却による借金返済」です。
デフレ脱却でなぜ借金返済できるか?
デフレ脱却とはインフレを意味します。
インフレ率が2%とは、物価が2%上がる事を意味し、さらにはお金の価値が2%下がる事を意味します。
例えば、2014年に10,000円で物が買えたとします。
インフレ率が2%になったとすると、2015年には物を買うために10,200円が必要です。
インフレ率2%が続くとすると、
2016年には10,404円
2017年には10,612円
2018年には10,824円
と増えていきます。
逆に言うと、2015年には10,000円の価値が2014年基準で9,803円に値します。
2016年には9,611円
2017年には9,423円
2018年には9,238円
と、インフレが起きると2014年基準で見たお金の価値が減ります。
これを借金にも置き換えてみます。
アベノミクスで目指すようにインフレ率2%とすると、
2014年の国の借金が1,000兆円だとして、毎年借金が増えないとすると、
2015年には2014年基準で見ると、961兆円
同様に2016年には942兆円
2017年には923兆円
2018年には905兆円
インフレ率が4年続くと、実質的には約1割も借金の価値が減ってしまいます。
借金と同様、貯金も実質的価値が減ります。
現実には毎年20兆円以上の借金が増えているので、借金は減っていきません。
しかし、税収を増やして、支出を減らせば、このインフレで借金の価値が勝手に減るという状況に持っていけます。
最近、世界中で話題になっている経済大書、
ピケティ教授の著作「21世紀の資本論」にも書いてあります。
この中では、「フランスとドイツが1945年の終戦時にGDP比200%近い借金をしていたが、その後のインフレによって50年後には大幅に減らした」とある。
アベノミクスによるインフレは財政再建を成し遂げたとしても国民を貧しくする。
一見、デフレ脱却により国の借金が実質的に減るのでバラ色の話に見えるますがが、大きな裏があります。上記例のドイツ・フランスは景気を回復する事により自然とインフレになったため国民は景気回復を実感する事ができました。
しかし、アベノミクスは人工的にインフレを起こしている。
1.日銀の金融緩和による強引な円安
⇒輸入品の値段が上がるため、インフレになる。
2.消費増税
⇒物の価格が全て2%上がるため、2014年のみインフレが2%底上げされた。
アベノミクスは人工的インフレを起こしている。だから、賃上げ要請をする必要がある。
ドイツとフランスは自然な景気回復であったため、インフレと同時に賃金も自然と増加しました。これは日本の戦後復興と同様のイメージです。
しかし、アベノミクスではインフレと株高・円安を人工的に引き起こし、後から景気回復が付いてくるとしています。
インフレだけでは、物価上昇により国民生活が苦しくなるだけなので、政府は大企業に賃上げを要請をして、賃金を無理やり上げました。
「企業の潤沢な内部留保金を労働者に配分しろ」と、まるで共産党のような事をしているアベノミクスです。
人工的に株高・円安を起こす官製相場。
人工的にインフレ・賃上げを起こす官製経済。
(やってる事は保守が嫌う社会主義経済その物のような気もしますが。)
株高になって資産家が儲かり、円安で一部上場の輸出企業が儲かり、一部の労働者が賃上げで消費を拡大する。これが日本経済全体に広がり、好循環を生むというのがアベノミクス理論。
でも、政府の賃上げ要請は大企業(正社員に限る)に向けての話。
賃上げ要請は全労働者の30%の大企業社員向け、しかも、その中の正社員に限る。
全労働者の38%ほどいる非正規社員は対象外。
全労働者の70%が働く中小企業については35%が賃上げ無し。
競争力のある会社は賃上げするし、無い会社は賃上げしない、当たり前の話。
さらには、賃上げしたとしてもインフレ率を下回るから実質的な賃金は減っている。
2014年11月の実質賃金は4.3%という大幅な下落。
一向に上昇しない実質賃金、停滞する経済成長。
人工的なインフレ・株高・円安・賃上げにより、一部の者だけが潤い、今後もその他多くの人はその恩恵を受けられない状況が続くでしょう。
<参考>
中小企業、65%が賃上げ 人手不足に対応 :日本経済新聞 2015/1/7
非正規社員比率38.2%、男女とも過去最高に :日本経済新聞 2015/1/7
「実質賃金」は4.3%減、下げ幅が大幅に拡大 - 11月 | マイナビニュース 2015/1/7
第2部 経済社会を支える中小企業 中小企業庁 2015/1/7